OS/2(オーエスツー)がeComStationを経てArcaOS(Blue Lion)になった

ITで知っておくべき知識
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OS/2って知っていますか?

 

OS/2は、かつて期待はされていたものの決して普及することはなく、もはやITの歴史の中に消えてしまったOS、オペレーティングシステムです。

OS/2についてまとめてみました。

 

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OS/2とは

OS/2は、マイクロソフトとIBMが共同開発したOSです。

 

1980年代の後半は、次世代のオペレーティングシステムの本命と言われていましたが、IBMとマイクロソフトの仲違いというか、それぞれの会社の事情や時代背景、市場動向の結果、ついに主流になることはありませんでした。

 

ただ、Windows 3.1が発表された1990年から1992年当時、

  • プリエンプティブなマルチタスク
  • 先進的なワークプレスシェル (いわゆるデスクトップ全部がGUIになるやつですね。今や、デスクトップOSのスタンダードの形をこの当時で実現しています)
  • 完全な32bitオペレーティングシステム
  • スレッドの採用

などの特徴で時代の先進をいくオペレーティングシステムでした。

 

Windows OSがまだ16bitで動作し、商用のUNIXや、汎用のCのプログラミング言語でさえ、まだスレッドがサポートされていなかった時代だったので、当時としてはまさに先進的と言えました。

 

OS/2の歴史

OS/2の歴史をまとめてみました。

 

 バージョン イベント 
 OS/2 1.0 1987年4月2日、IBMとマイクロソフトの共同開発した。

GUI非搭載で全画面のタスクスイッチあり。

 OS/2 1.1 1987年、GUIであるPM (Presentation Manager) を搭載した。
 OS/2 1.2 1989年、ファイルシステムとしてHPFS(High Peformance File System、ハイパフォーマンスファイルシステム)を採用した。

ボタンやアイコンを3D表示化。DOSとのデュアルブートが可能になった。拡張版にREXXというインタープリタ言語が装備された。

 OS/2 1.3 1990年10月、IBMの単独開発となった。

Adobe Type Managerを標準実装した。基本版にもREXXが搭載された。

 OS/2 2.0 1992年、主にIBMが開発を担当した。

Windows 3.0用のアプリケーションをサポート (WIN-OS/2) した。

 OS/2 2.1  1993年、Windows 3.1が動く (WIN-OS/2がWindows 3.1相当になった)。

日本語版において、IBM純正のATバスマシンだけでなく互換機もサポート対象に追加した。

 OS/2 2.11 1994年、ユーザインタフェースの改善などを行った。
 OS/2 Warp V3 1995年、Verion 3にあたるOS/2 Warp V3を発表した。

32ビット専用化となった。

 OS/2 Warp Connect V3 1995年、Warp V3にLAN対応機能 (TCP/IP、LAN Serverクライアント、NetWareクライアントなど) を追加した。
 OS/2 Warp V4 1996年、Version 4にあたるOS/2 Warp V4を発表した。
 OS/2 Warp Server for e-business 1999年、Windows NT 4.0 Server群をシームレスに管理可能になった。
 OS/2 Communications Server for OS/2 Warp 2000年、SNAとTCP/IP間の通信を統合した。
 Convenience Package for OS/2 Warp 4 (V4.51) 2001年にリリースされた。
 Convenience Package for OS/2 Warp 4 (V4.52) 2002年にリリースされた。

 

IBMは2002年のWarp 4.52を最後にOS/2のバージョンアップを打ち切り、使用を続ける顧客に対してサポートを続けました。

 

また、IBMはパーソナルコンピュータ市場では、Windowsに加えてLinuxを重視し、OS/2を使っていた顧客にLinuxへの移行を薦めました。

 

2005年7月にIBMは正式なサポート終了通告を発表し、2006年12月末をもって通常ルートのメンテナンスを完全に停止しました。

IBMが1996年のOS/2 V4をリリース後に、主だった開発を停止した後も10年に渡りサポートを続けている姿勢は評価できます。

 

ちなみに、IBM が少なくとも1社に対し、2019年まで OS/2 サポートを続けることも知られていました。

This year we heard that IBM has at least one customer contracting for OS/2 support through 2019 (yes that is 2019);

 

OS/2とオープンソース

 

IBMは2005年に「OS/2のオープンソース化は何度か検討したが、ビジネス的、技術的、および法的な理由から、OS/2のオープンソース化は行わない」と発表しています。

 

As stated in our response to your September 2005 letter we have considered the positioning of OS/2 and open source several times in the past, and for a variety of business, technical, and legal reasons we have decided to not pursue any OS/2 open source projects.

 

 

その後、更に、一部のユーザーがOS/2のオープンソース化を要望する署名を11,600件集めてIBMに対して要望しました。

その要望に対して、IBMは2008年に再度、公式にOS/2のオープンソース化しないことを発表しています。

 

IBM made an announcement that put an end to any hope of an open source OS/2. Responding to requests from an online community that had previously collected 11,600 signatures in support of its cause, the company confirmed that they would not be releasing the source code of their OS/2 operating system.

 

 

オープンソース化出来ない理由については幾つかの憶測があるものの、主にマイクロソフトと共同で開発した部分の著作権がネックになっているのではないかと思われます。

 

ところで、OS/2のオリジナルのコードとは無関係ですが、OS/2のオープンソースの互換を開発するプロジェクトはあるようです。

 

それが、osFree projectです。

osFree project

 

eComStation

 

eComStation(イーコムステーション)は、Serenity Systems社とMensys社が開発しているオペレーティングシステム(OS)です。

 

IBMとマイクロソフトが共同開発したOSであるOS/2のOEMで、OS/2Warp4 コンビニエンスパッケージがベースとなっています。

2000年 Serenity Systems社が、IBMよりOS/2 Warp 4のOEMライセンスを受けて開発が始まりました。

 

以下が公式サイトです。

eComStation

 

公式サイトを見る限り、英語、イタリア語、ドイツ語に対応していますが、日本語版はないようです。

日本における仕入れ先は以下のようですが、実績はあるのでしょうか。

Tegara Corporation

 

 

Mensysに経営上の問題が起きたために、eComStationは2.1を2011年にリリース後、開発が停滞しているようです。

eComStationの権利はXEUに売却されましたが、同社もまだeComStation 2.2の最終バージョンを出荷していません。

 

ArcaOS (Blue Lion) アルカOS ブルーライオン

 

 

Arca Noaeは、OS/2のベテランたちが運営する組織です。

以下が公式サイトです。

ARCA NOAE

 

Arca Noaeは、IBMからOS/2の新たなディストリビューションを販売するライセンスを取得しました。

そして、このディストリビューションには、現在「Blue Lion」というコードネームが与えられています。

 

ArcaOS (Blue Lion)は、2016年中にリリースされるようです。

⇒ 2017年5月15日にリリースされました。

 

 

デスクトップOSのシェアは、Androidなどスマホ向けのOSに比べてシュリンクしている中で、今更、OS/2の後継に意味があるのかな?というのが正直な感想ですが。。

 

OSのシェアについては、下記もご覧ください。

Windows, スマホ OS (Android, iOS) の歴史、シェアの推移、衰退、パラダイム
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さて、ArcaOS、まずリリースされるでしょうかね。

⇒ 2017年5月15日にリリースされました。

 

最近のArca Noaeの発表は次の通り。まだ、Blue Lionはリリースされていませんね。

ACPI package version 3.23.03 released October 10, 2016
Arca Noae is pleased to announce the immediate availability of our ACPI Package for OS/2 and eComStation version 3.23.03. This release contains the following changes: Updated to ACPICA 20160831.

 

 

 

よくよく調べたら、いよいよOS/2 Warpの正統後継「ArcaOS」、発表か。

 

OS/2 Warpの正統後継「ArcaOS」がようやくお目見え
 OS/2オペレーティングシステム向けのソフトウェアやドライバ、サービスなどを開発するArca Noaeは5日(米国時間)、米国フロリダ州・オーランドで開かれているOS/2コミュニティイベント「Warpstock 2016」にて、OS/2 Warpの正当後継となる“Blue Lion”こと「ArcaOS」のデモストレー...

 OS/2オペレーティングシステム向けのソフトウェアやドライバ、サービスなどを開発するArca Noaeは5日(米国時間)、米国フロリダ州・オーランドで開かれているOS/2コミュニティイベント「Warpstock 2016」にて、OS/2 Warpの正当後継となる“Blue Lion”こと「ArcaOS」のデモストレーションを公開した。

 

 

ArcaOS 5.0 2017年5月15日にリリースされました

ArcaOS 5.0 は、2017年5月15日にリリースされました。

 

「ArcaOS 5.0」の主な特徴は次のとおりです。

OS/2 Warp 4, MCP 2ベースのオペレーティングシステム

OS/2、Windows 3.1、DOSアプリケーションを実行可能

Linuxから移植されたアプリケーションを実行可能

Arca Noaeによるサポートサービスの提供

現在OS/2やeComStationを使っているユーザに対してマイグレーションサービスを提供

 

 

「ArcaOS 5.0」ではOS/2やWindows 3.1、DOSのアプリケーションを実行することが可能です。

 

 

Arca Noae products Archives - Arca Noae

 

 

ArcaOS 5.0 commercial edition (商用ライセンス)は、229ドル

ArcaOS 5.0 personal edition (パーソナルライセンス)は、99ドル

です。

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうござました。

 

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