IT業界でシステム開発 (ソフトウェア) の契約形態と種類、工数とは?請負契約とSES契約 (システムエンジニアリングサービス) 違い、注意点

コラム
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IT業界でソフトウェア開発を請け負う場合の代表的な契約形態(請負契約、SES契約)についてまとめてみました。

 

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工数とは

まず、よく出てくる工数について用語を整理します。

工数(こうすう)とは作業量を表す概念で製造業を中心に、全ての産業で使われる概念です。

ソフトウェアの開発費用を見積もり場合も、工数を使います。

工数は「人日」、「人月」というのがよく使われます。

 

例えば、1人月50万円の人が5ヶ月働いた場合、「5人月250万円必要」というように使います。

 

人月、人日については以下もご覧ください。

人月、人日、ITのシステム開発の見積もりの計算方法、SE、プログラマーの1人月の相場はいくら?
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請負契約

 

請負契約の特徴

 

請負(うけおい)とは、当事者の一方(請負人)が相手方に対し仕事の完成を約し、他方(注文者)がこの仕事の完成に対する報酬を支払うことを約することを内容とする契約。日本の民法では典型契約の一種とされ(民法632条)、特に営業として行われる作業又は労務の請負は商行為となる(商法502条5号)。

 

受託開発、SI(システムインテグレーション)などで普通に使われる契約形態です。

 

成果物の著作権は、請け負った制作者にある場合が多く、依頼者にあるのは成果物の使用権です。

ソフトウェアの著作権は誰のものか (1)
 今回から数回に分けて、ベンダーに依頼して作成した「ソフトウェアの権利」について紹介していきます。今回はその導入として裁判所の判例を元に、著作権についての裁判所の基本的な考え方について解説していきます。

 

多くの場合、受託した側が納品後1年間、成果物の瑕疵に対して品質を担保する必要があり、バグが発生すると無償で修正する必要があります。

 

この契約の場合、開発作業する場所は受注者側が行うのが普通で、開発に必要なパソコンや開発ツールは受注者が用意する必要があります。

また、通常は受注者が仕事の管理を行い、現場の開発の指揮を摂ります。

 

発注者の注意点

ソースコードの著作権が受注者にある場合、納品後、発注者は常に受注者のサポート体制に依存することになります。

お金を受け取るまでは「ちゃんとした」対応してくれた発注者が、納品後に豹変するかもしれません。

信頼できる相手かどうか発注する前に見極める必要があります。

 

受注者の注意点

受注者が注意しないといけないことは、事前の見積金額です。

見積金額には、仕様通りにソフトウェアを開発した時にかかる工数と、納品後1年間に発生する不具合修正にかかる工数をあらかじめ想定しておかないといけません。

見積もる上で、仕様書の作成は欠かせません。

また、納品後もサポートできるだけの要員を確保する必要があります。

ただ、1年後にさらに保守契約を結べるメリットもあります。

 

SES契約 (システムエンジニアリングサービス契約)

 

SES契約の特徴

 

システムエンジニアリングサービス契約(SES契約)とは、システムエンジニアが行うシステム開発等に関する、委託契約の一種(委任・準委任契約等)で、システムエンジニアの能力を契約の対象とするものである。

 

工数提供、派遣、客先常駐、タイムアンドマテリアルなどで使われる契約形態です。

 

作業中に作成した成果物の著作権は、仕事を依頼した側にあります。

時間単位でお金が支払われるのが普通です。

依頼された側のプログラムでバグが発生した場合であっても、依頼された側の責任はなく、依頼者が更なるお金を払うことで修正します。

 

この契約ではパソコンや開発ツールなどは発注者が用意します。

また、通常は発注者が仕事の管理を行い、現場の開発の指揮を摂ります。

 

発注者の注意点

時間ごとに支払いが発生するために工数の管理は必須です。

また、単価に見合ったスキルのある人物かどうかの判断も必要です。

単価に見合わない人物の場合、人を変更するなどで対応します。

 

受注者の注意点

サービス残業など、契約外の仕事を依頼されていないか見極める必要があります。

あらかじめ決められた時間を超過した場合、発注者に請求できますが、様々な人間関係から請求できないこともあります。