IT業界の商流とは?フロー図と例を使って、飛ばし、違反、制限、SESを説明

ITビジネス
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IT業界でよく耳にする商流について、例とフロー図を使ってわかりやすく説明しましょう。

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ITビジネスの商流とは?意味は?

商流の読み方は、「しょうりゅう」です。

 

一般に「流通」には、「物流」と「商流」の2種類があります。

商品の物的な移動を「物流」と言います。

一方、商品の売買に伴う所有権や受発注情報の流れを「商流」と言います。

 

特に、ITビジネスで「商流」とは契約、お金の流れのことと考えてよいでしょう。

次のフロー図と例を使って説明します。

 

 

この図のフローの意味は次の通りです。

 

発注元のクライアントX社が、請負契約(SI)として、あるシステムの開発をA社に発注したとします。

請負契約とSESについては以下にまとめました。

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この時、A社が元請のSIerです。

A社はX社から依頼されたシステムを構築するのに、Z社のパッケージをカスタマイズして使うことにしました。

Z社はパッケージベンダーなので、パッケージの保守やライセンス契約は、発注元であるX社と直接行います。

 

一方、A社は自社にZ社のパッケージのカスタマイズ経験がないため、B社に開発を再委託します。

この時、A社が元請けで、B社は下請けです。

B社も実はZ社のパッケージのカスタマイズ経験がないため、さらにC社に開発を再委託します。

そして、C社がZ社のパッケージのカスタマイズ経験のある外注のフリーランスであるDさんに開発を再委託します。

最終的に、DさんがZ社のパッケージをX社向けにカスタマイズして構築します。

 

この例の場合、X社、A社、B社、C社、Dさん、Z社の間の契約、お金の流れが商流です。

 

A社がX社から請負契約でシステムを受注した時、A社、B社、C社、Dさんの間の契約はSIであってもSESであっても構いません。

 

また、X社のシステム構築にあたり、X社の担当者とDさんが直接打ち合わせすることもあります。

この場合、A社、B社、C社の監督下でX社とDさんが打ち合わせを行うということになります。

機密保持契約(NDA)も必要になりますが、

X社とA社
A社とB社
B社とC社
C社とDさん

の間で結んでおけば、通常は問題ありません。

再委託とは

再委託とは、発注元から請けた案件をさらに外部のアウトソーサーに委託することを言います。

先ほどのシステム開発の場合、例えば発注元X社が、システム開発の依頼をA社にし、さらにA社がB社に開発の一部を依頼するようなことを言います。

X社はA社に開発を依頼している訳なので、開発の責任はA社にあります。

B社はA社の管理監督の元で、X社のシステムの開発を行うことになります。

商流を飛ばす?違反、制限

商流通りにビジネスを進めることを、商流を通すと言います。

一方、商流を都合よく無理やり変更することを、商流を飛ばすと言います。

商流を飛ばすとは、商流における間の会社を商流から外して、その上の会社と契約をしてしまうことです。

 

上記の例を挙げると、下記のような商流で契約に至ったものがあるとします。

X社→A社→B社→C社→Dさん

そのとき、B社に内緒で、A社とC社で契約をしてしまうことが、商流飛ばしです。

 

下記のようにお金の流れがあったとき、

X社(100万円払う)

→A社(100万円もらって80万円払う)※20万円の利益

→B社(80万円もらって70万円払う)※10万の利益

→C社(70万円もらう)

 

下記のようにすると、A社とC社にメリットがあります。

X社(100万円払う)

→A社(100万円もらって75万円払う)※25万円が利益(5万円アップ)

→C社(75万円もらう) (5万円アップ)

 

※B社の利益分をA社C社で折半したイメージで、仮にB社が利益を10万取っていたとしたら、A社とC社は5万ずつ増えます。

見た目で明らかですが、商流が変更されています。

 

こういった「商流を飛ばす」行為は、当然だけどやってはいけません。

法律的な制限は微妙な気もしますが、やった場合、すぐにバレるし、こんなことをやっていると業界で干されます。

 

商流飛ばしは、難しい?

一方で、商流飛ばしは、それほど簡単ではないです。

例えば、先の図の例で、発注元のX社はパッケージZ社のカスタマイズを行うのに、フリーランスであるDさんに直接お願いすればよいように見えます。

 

ところが、

① 与信限度、管理能力

X社には与信をチェックする部門があり、フリーランスであり、過去取引実績のないDさんとは直接契約出来なかったりします。

 

あるいは、

② 目に見えない細かなノウハウ

X社にZ社のパッケージに対して人脈や知見がなく、カスタマイズできる人を見つける能力がないこともあります。

 

このような事情もあり、元請けのA社、下請けのB社、C社の存在意義がそれなりにある訳です。

繰り返しますが、商流を飛ばす行為はIT業界では決して行ってはいけません。

商流は通さないといけません。

 

商流を理解しない奇妙な発注元クライアントとの体験談

商流に関する私の奇妙な体験談を紹介しましょう。

 

先ほどのフロー図とは少し違い、パッケージベンダーであり、かつ、そのカスタマイズを担当していた時の私のリアルな体験談です。

図を描くと次のような状態です。

 

私はZ社の社員でありながら、元請であるA社と契約を行いカスタマイズ開発の仕事を行っていました。

発注元であるX社とZ社の間の契約はパッケージの保守・ライセンスのみです。

 

A社からの請負契約でカスタマイズしていたX社のシステムのカットオーバー直前のことでした。

これまで全く面識のなかったX社のお偉い人から、すごい剣幕でお怒りの電話がありました。

 

X社の偉い人:「普通はシステムのカットオーバーなら、テープカットのようなセレモニーをするだろ!そんな準備もしていないのか?」

Z社の俺:「(は?テープカットセレモニー?そんなのして欲しいの?それ俺が準備するの?)」

 

X社の偉い人:「それを用意するのがベンダーの仕事だろ!」

Z社の俺:「(は?いや。。そんな契約ないし、A社に直接言ってくれ。)」

 

X社の偉い人:「契約あるとかないとか関係ないぞ!」

Z社の俺:「(は?関係あるだろ?)」

 

X社の偉い人:「いや、あなたにこんなこと言っても仕方ないけど!」

Z社の俺:「(は?いや、分かっているじゃん。。じゃぁ、言うなよ。)」

 

忘れられない、商流をまったく理解していないクライアントがいることを知らされた瞬間だった。

 

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