米IBMが2018年10月28日(現地時間)、Linuxデュストリビューター大手の米Red Hatを買収すると発表したそうです。
買収総額は約340億ドル(約3兆8038億円)で、取引は2019年下半期に完了の見込みだそうです。
IBMとしても、ソフトウェア業界でも買収規模は最大規模です。
ただ、一般人のみならず、ITに少し詳しい人もレッドハットを詳しく知らないと思うので、RedHatについて調べてみました。
目次
RedHat (レッドハット)とは
RedHatは、1993年創業のLinuxディストリビューター最大手です。
Linuxのディストリビューターについては以下をご覧ください。
IT大手ではめずらしく、シリコンバレーではなくて米国ノースカリフォルニア州ローリーに本社をおいています。
RedHatのビジネスモデルは、オープンソース化されたパッケージ類を集めることで、企業向けのサーバーソフトウェアを構築、ソフトウェアライセンス料は無料、ソフトウェアのアップデート・アップグレード・保守サポートなどを一体化したサブスクリプション(年間契約費)で販売する事業モデルです。
オープンソースソフトウェアの保守、サポートをビジネスにする手法は、ソフトウェアそのものを開発し、販売するマイクロソフトなどのビジネスモデルとは一線を画しています。
従来のビジネスと異なるために1990年代は奇異に見られていましたが、このビジネスモデルは受け入れられ、1990年代の後半にはLinuxディストリビューターとしては最大手の一社になりました。
つまり、多くの企業はソフトウェアがオープンかクローズかという議論よりも安定性、あるいは保守があるかないかにお金を払うことを証明したとも言えるでしょう。
RedHat の Linux OS
RedHatのLinuxは、当初は、RedHat Linux と呼ばれていました。
これは、その後、フリーなコミュニティであるFedoraプロジェクトに委譲されました。
2003年から、RedHatは、RedHat Enterprise Linuxをベースにしたサブスクリプションを販売しています。
RedHat Enterprise Linuxは、RHELと略されることもあります。
RHELの読み方は、レルです。
RedHat Enterprise Linux (RHEL) のバージョン
RedHat Enterprise Linuxのバージョンの推移は次の通りです。
Red Hat Enterprise Linux 2.1 (2002年3月リリース)
Red Hat Enterprise Linux 3 (2003年10月リリース)
Red Hat Enterprise Linux 4 (2005年2月リリース)
Red Hat Enterprise Linux 5 (2007年3月リリース)
Red Hat Enterprise Linux 6 (2010年11月リリース)
Red Hat Enterprise Linux 7 (2014年6月リリース)
フリーのCentOSやScientific Linux、StartCom Linux、White Box Enterprise Linuxは、RHELをベースに作成されています。
RedHatのポータル、ダウンロードサイト
RedHat製品のポータル、ダウンロードサイトは次の通りです。
アクセスするには、RedHatのアカウントでログインする必要があります。
レッドハット製品の価格、購入
日本でレッドハット製品を購入するには、以下の手順に従います。
代理店、パートナーを通じて購入可能です。
RedHatの関連プロジェクト、オープンソース
RedHat に関連して、以下のように多くの有名なソフトウェアプロジェクトがあります。
GNOME (グノム)
GNOME(グノーム、ノーム、GNU Network Object Model Environment)は、X Window System上で動作するデスクトップ環境です。
RedHatは、GNOMEプロジェクトに貢献しています。
LibreOffice (リブレオフィス)
LibreOfficeはOpenOffice.orgから派生した、様々なオペレーティングシステムで利用可能なオフィススイートです。
RedHatは、LibreOfficeに貢献しています。
RPM (アールピーエム)
RPMは、RedHat Package Managerというパッケージマネージャーです。
Cygnus Solutions (シグナスソリューション)
Cygnus Solutionsは、2000年にRedHatに買収されました。
Cygwinやgccで有名な会社です。
JBoss (ジェイボス)
JBossは、2006年にRedHatに買収されました。
ミドルウェア、アプリケーションサーバーで有名です。
CoreOS (コアオーエス)
CoreOSは、2018年にRedHatに買収されました。
Container Linux(コンテナリナックス)という、Linux(リナックス)を使ってコンテナ型仮想化を実現する専用OS を提供している会社です。
以前は製品名も CoreOS(コアOS)でしたが、2016年12月に製品のブランド名が「Container Linux by CoreOS」に変更されています。
まとめ
IBMという業界最大手の一社に買収されたレッドハット。
今後は、IBMのクラウド製品群にまとめられていくのでしょうか。
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