銀行などの金融機関で送金や振込を行う際には、振込手数料が発生しますね。
受注者から発注者に請求書を送る場合、その請求書の振込手数料は受注者と発注者でどちらが負担するべきでしょうか?
結論として、民法第484条、第485条の「持参債務の原則」によって、振込手数料は債務者である請求書を受領した側、すなわち代金を振り込む側が負担することが原則です。
先方負担と当方負担
振込手数料の負担には、先方負担と当方負担の2種類あります。
先方負担とは
請求書を発行する側、代金の受け取り側が手数料を負担するのが「先方負担」です。
この場合、支払い側は「手数料を差し引いた金額」を振り込むようします。
例えば請求金額が10,000円で手数料が110円だった場合、9,890円を振り込みます。
当方負担とは
請求書を受け取った側、代金を支払う側が手数料を負担するのが「当方負担」です。
先ほどの例の場合だと、10,110円を振り込まなくてはいけません。
法律、民法の持参債務の原則、当方負担
では、先方負担と当方負担で法律ではどちらが振込み手数料を持つべきでしょうか?
関連する法律は以下の通りです。
(弁済の場所及び時間)
第484条
弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
法令又は慣習により取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、弁済をし、又は弁済の請求をすることができる 。
(弁済の費用)
民法 第485条
弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。
この民法第484条、第485条の「持参債務の原則」によって、振込手数料は債務者である請求書を受領した側、すなわち代金を振り込む側 (当方) が負担することが原則とされています。
下請法では先方負担もあり
下請法では、合意がある場合に親事業者が下請事業者に下請代金から振込手数料を差し引いて支払うことが認められています。
この振込手数料はあくまで「実費の範囲内」とされており、手数料が発生していないにも関わらず、従来の振込手数料に相当する額を代金から差し引くことは禁止されています。
実際に発生した振込手数料である必要があります。
手数料負担のお願いメール 例文
あとあとトラブルにならないように、事前に振込み手数料については合意しておくのがベストです。
合意していない場合は、請求する際に以下の例文のように請求書に添えておくとよいでしょう。
「恐れ入りますが振込手数料はご負担下さい」
「誠に勝手ながら、振り込み手数料はお客様のご負担でお願いいたします」
このように請求書にうたうのは、非常識なことではありません。
ただし、無視される可能性はあります。
あらかじめネゴをしておきましょう。
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